冬のランニングシューズを選ぶポイント

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保護機能とサポート性を備え、足を暖かく保ちながらパフォーマンスを高めてくれる。冬のランニングには、そんなシューズが必要だ。

最終更新日:2022年7月26日
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冬用ランニングシューズの選び方とポイント

雨や雪の空模様に、トレーニングを中断させない。他の人々が室内に閉じこもっている間も、風を切り裂き、雪の中でも一歩を踏み出し、目標に向かって突き進もう。

とはいえ、冬のランニングには要注意。滑りやすい路面で転倒しやすくなるうえ、気温が低いために筋骨格系に損傷が起きるリスクが高まるからだ。冬のランナーにとっての最優先事項は、足を守り、しっかりサポートしてくれる、自分に合ったシューズを履くこと。寒い時期に走るランナーが、冬用のランニングシューズを選ぶ理由はここにある。

自分に最適な冬用ランニングシューズとは

冬のランニングシューズを選ぶのは簡単ではない。保温性に優れ、悪天候から足を守るシューズが必要だが、快適なフィット感と安定性のレベルも同様に確保しなければならない。

最適な冬用ランニングシューズといっても、居住地の気候、ランニングコースの路面、足の構造などによって違ってくる。寒い日に対応するランニングシューズで、自分にぴったりの一足を選ぶ際に知っておくべきポイントを紹介しよう。

冬のシューズに欠かせない機能

断熱性

断熱性とは、風をブロックしながら、体温を閉じ込める機能だ。防水加工を施したシューズのほとんどは、冬用のランニングソックスと組み合わせることで、穏やかな冬の日であれば、足を暖かく保つのに十分な断熱性を発揮する。しかし、極寒の中を走るには、風の侵入を防ぐようデザインされたアッパーのシューズを選ぶ必要があるだろう。

防水性

雨か雪かにかかわらず、悪天候では足を乾いた状態に保てるシューズが必要だ。つまり、耐久性に優れ、撥水加工や防水加工が施されたアッパーを備えたもの。極端に寒い環境では、GORE-TEXメンブレンを使用したシューズを選びたい。この素材にあるごく小さな孔は、水滴は通さず、通気性を確保して、汗の水分を逃す。

視認性

冬の数ヵ月は日照時間が短くなり、薄暗い状況で走る機会が多くなる。また、路面が濡れていると、自動車が停止するまでに時間がかかるため、遠くからでも視認できるようにすることが重要だ。冬用のシューズを購入するなら、気付いてもらいやすいリフレクティブ(再帰反射)素材を使用したシューズを選ぶことをおすすめする。

悪天候からカバー

雪の中を走るなら、舗装されていないトレイルでは特に、ローカットシューズは寒さを十分に防げなかったり、雨や雪がソックスにしみてきたりする可能性がある。足を暖かく乾いた状態に保つには、冬用アパレルと共にハイカットのデザインを選ぼう。

トラクション

ラバー合成素材をアウトソールに使用したシューズがおすすめ。路面が濡れていたり凍っていたりする状況でも、道路やトレイルで優れたグリップを発揮する。泥や雪解けのぬかるみを走るという場合は、フォームアウトソールは避けよう。また、シューズの底に小さく深いラグを刻んだシューズは、優れたトラクションを発揮する。

冬用ランニングシューズの選び方とポイント

さらに冬の寒さを防ぎたいなら、GORE-TEXを使用したシューズを選ぼう。

寒い気候がランニングシューズの性能に与える影響

ランニングシューズの大半は、ミッドソールやインソールにEVAフォームを使用している。クッショニングと反発力を兼ね備えた合成素材だ。このフォームは寒い環境では硬くなるため、着地時の反発力が弱くなる。

硬い路面を走るときと同じようにフォームが圧縮された状態になるのだ。けがの増加との相関関係は認められていないものの、寒い環境で走るとき、特にクッショニングの効いたシューズが必要なランナーは、注意すべき事実だ。また、EVAフォームは年月とともに硬くなるため、ランニングシューズは適度な間隔で買い替えるようにしよう。

寒い気候がアスリートに与える影響

寒さの影響を受けるのはシューズの性能だけではない。筋肉組織にも影響は及ぶ。寒さにさらされると、固有受容感覚、筋力、敏捷性が鈍る可能性がある。パフォーマンスを左右するこれらの能力が低下すると、筋骨格系に損傷が起きるリスクが高まるため、寒さの中を走るアスリートは、けがをしやすくなる

適切なシューズを履くことでけがのリスクを減らせることがわかっている。そこで最善の自衛策として、快適にフィットし、十分なクッショニングとサポート性のあるシューズを選ぶようにしよう。

気象条件に適したシューズを選ぶ

冷たい雨の日に走る場合

気温が氷点下にならず、寒さは厳しくないが、雨が降る場合に適しているのは、撥水加工が施されたランニングシューズ。防水仕様の冬用ランニングソックスと合わせて履けば、足を暖かく保てる。夏用ランニングシューズに、冬用ランニングシューズカバーや防水仕様のゲイターを重ねて水分の侵入を防ぎ、暖かさを閉じ込めることも、場合によってはOKだ。

ただ、雨の中、ぬかるんだトレイルを走る場合は、トレイルランニングシューズを選ぼう。アウトソールに粘着性の高いラバーと深めのラグを配し、通常のランニングシューズよりも硬めだが、悪天候や起伏が多い地形にも対応し、足を保護してくれる。

雪の路面を走る場合

防水加工が施されたトレイルシューズなら、トラクションの性能が高く、雪の日でも舗装された道路や歩道、凹凸の少ないトレイルでのランに対応する。舗装された路面で夏にトレイルランニングシューズを履くと、ラバーが摩耗する可能性があるが、雪の中では、トラクション、断熱性、防水性の高いシューズが欠かせない。

冬用タイヤのように、さまざまなトレッドパターンや、粘着性の高いラバーを配したアウトソールを使用し、耐久性を高めたシューズを選ぼう。また、車や自転車が通る道を走るランナーは、安全のために、リフレクティブ(再帰反射)素材を使用したシューズを選ぶこと。

雪のトレイルを走る場合

舗装されていない山のトレイルは通常、除雪されることはないため、市街地でのランニングよりも雪やぬかるみの深い場所を走ることになる。そこで、雪や泥の侵入を防ぐ、撥水加工を施したハイカットのシューズが必要だ。また、足を乾いた状態に保つのに最も効果的なのは、GORE-TEXの裏地。アウトソールにも注意を向け、地面をしっかりグリップするシューズを選ぼう。

凍った路面を走る場合

凍った道やトレイルを大胆不敵に走るなら、耐久性とトラクションが最高レベルのシューズが必要だ。アウトソールにスパイクを配したシューズなら、スリップを防いでくれる。雪が深く積もった場所を走るランナーは、ラグが深いシューズを選ぼう。選んだシューズの断熱性を確認し、悪天候から十分に足を保護できないようなら、別売りのゲイターを買い足せばよい。

冬用ランニングシューズの選び方とポイント

自分の足に適した冬用ランニングシューズを選ぶ

フィット感と快適性

シューズを選ぶ際に歩行分析を参考にするストアもあるが、より重要なのは、自分がぴったりだと感じる冬用ランニングシューズを選ぶこと。足に気持ち良くフィットするシューズを選べば、履き心地が快適で、けがのリスクも減らせる。次に、ぴったりフィットするシューズを見極めるヒントを紹介しよう。

  • ショッピングは夕方以降に。日が暮れるにつれて足はむくむので、フィット感を的確に判断するには、17時以降にストアを訪れること。
  • サイズを確認する。まず、ブランドのサイズ表で、自分の足の大きさに合うサイズを確認しよう。購入を決める際は、シューズを履いたときの感覚を重視すること。
  • 迷ったときは、ハーフサイズ大きいものを選ぶ。判断がつかないときや、オンラインでシューズを注文する場合、ハーフサイズ大きいものを選ぶとよい。きつすぎるシューズよりも多少ゆとりがあるシューズのほうが、快適にフィットする可能性が高い。
  • つま先のゆとりをチェックする。足とシューズ先端の間を手の親指で押してみよう。つま先の周りに、少なくとも親指の半分程度の隙間が必要だ。つま先を自由に動かせ、曲げ伸ばしできるかどうかもチェックしよう。
  • ランニングソックスを履いてシューズを試着する。シューズを試すときは、冬用ランニングソックスを持参すること。保温性、防水性に優れたソックスは、通常のものよりも厚手だ。フィット感を的確に把握するには、ソックスを履いて試す必要がある。
  • 試しに走ってみる。ランニングシューズの試着時に歩いてみただけでは、スピードアップしたときの履き心地はわからない。購入を検討するシューズを履いて、トレッドミルや店の周りを試しに走ってみよう。

シューズの快適さを評価するにあたって、着目すべきポイントは次のとおり。

  • アッパーが足にこすれず、足の形に合っている
  • トゥボックスに十分なスペースがあり、足指を快適に曲げ伸ばしでき、痛みを感じない
  • サドルは土踏まずをきつく締めすぎることなく、しっかりサポートする
  • ミッドソールは軽量で、快適なクッショニングを発揮する
  • アウトソールが足の形に合っていて、十分なトラクションを発揮する
  • ヒールドロップによって、走るときに一定の部分に余分な力が加わることがない
  • ソックライナーは柔らかく、走るときも快適
  • 足が抜けたり、履き口で足首がこすれたりすることがない

安定性とクッショニング

ニュートラルなランニングシューズを選べば、自然なストライドで走れ、十分なクッショニングが得られる。扁平足のランナーの痛みを軽くするのに最適だ。密度の異なるフォームや、内側の加重など、安定性を高めるための素材は使用していない。ほとんどのランナーは、不快感をおぼえたり、けがのリスクを高めたりするほど、足を内側や外側に倒すことはないため、足の傾きをコントロールする必要はないのだ。

プロネーションやサピネーションに起因する痛みを抱えているときは、安定性を高めるスタビリティシューズや動きを制御するモーションコントロールシューズを選ぶとよい。スタビリティシューズは、サポート性が高いうえ、柔軟性と反発性にも優れている。モーションコントロールランニングシューズは、頑丈で重く、多くのランナーにとって最適とは言えない。痛みについて専門医に相談し、土踏まずをしっかりサポートするシューズをすすめられたら、これらのシューズを試すか、痛みを和らげるための矯正器具を利用するといいだろう。特にそのような問題がなければ、ニュートラルなランニングシューズで十分安心して走れるはずだ。

冬用ランニングシューズに関するよくある質問

冬用にランニングシューズを用意するべき?
居住地の気候とランニングコースの路面による。冬の寒さが厳しくなく、雨が少なければ、特別に冬用のランニングシューズを用意する必要はないかもしれない。足が濡れないように、冬用のランニングシューズカバーやゲイターを使用し、防水仕様のランニングソックスを履いて暖かさを保つこともできる。ただし、雪解けのぬかるみを走る場合は、防水性や断熱性が高く、優れたトラクションを発揮するシューズが必要。さらに、凍った路面を走る場合は、冬のランニングに対応するようデザインされたシューズが欠かせない。
冬用のランニングシューズはどのぐらいの頻度で買い替えるべき?
ランニングシューズの寿命は通常、約500-800km、あるいは3-6か月。シーズンごとに買い替えるというのもひとつのアイデアだ。クッショニングが年月とともに硬くなり、EVAフォームは寒さによっても硬くなるからだ。たとえ冬用のランニングシューズは丈夫にデザインされているとはいえ、悪天候にさらされると劣化が早まる恐れもある。摩耗の兆候が外見に現れてから買い替えようとすると、適切なクッショニングが失われた状態で何マイルも走ることになるだろう。
冬のランニングは安全か?
冬のランニングは、転倒や筋骨格系の損傷を起こすリスクが高い。これらのリスクを減らすには、適切なシューズを履き、寒い屋外に出る前に筋肉を温めておく必要がある。肌を露出させないようカバーし、ランニング後は濡れた衣類をすぐに着替えて、寒さに起因するけがを防ごう。長距離ランの後に体が冷えすぎるようなら、短距離ランを2本走るようにしたほうがいいかもしれない。

公開日:2021年8月20日