栄養たっぷりの冬野菜5選を管理栄養士が解説

食事

寒い季節に活躍する、栄養たっぷりの野菜をチェックしよう。

最終更新日:2023年1月25日
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健康にメリットをもたらす5つの冬野菜を管理栄養士がご紹介

旬の野菜は美味しく、しかも安価に購入できる。だがメリットはそれだけではない。

「地元で育った野菜を買えば、環境だけでなく地元の農家の人たちをサポートすることになります」と語るのは、 ニューヨーク大学で栄養学の非常勤教授を務めるリサ・ヤング博士(管理栄養士)だ。

地元で育った野菜を購入すれば、他の土地で採れた野菜を何百キロと輸送する必要もなくなる。つまり二酸化炭素排出量も減らせるのだとサラ・コジック(管理栄養学修士)は語る 。 「旬の季節に収穫された野菜は、栄養価が最も高くなっています。健康な体を保つのに必要なあらゆるミネラル、抗酸化物質、ファイトケミカル、ビタミンが含まれているんです」

2人の管理栄養士が、入手も料理も簡単な栄養価の高い冬野菜をご紹介。

5つの冬野菜がもたらす健康効果

  1. 1.カボチャ

    健康にメリットをもたらす5つの冬野菜を管理栄養士がご紹介

    「冬カボチャが、実際に栽培されるのは夏。そして秋に収穫されるカボチャです」とヤング博士は語る。 博士のお気に入りは、バターナッツカボチャだ。多彩な料理に使えるうえ、満腹感もあって栄養値に富んでいる。

    調理したバターナッツカボチャには、ベータカロチン(ビタミンAに変換されて目と皮膚の健康を促進)が豊富だ。免疫力を高めるビタミンCも摂取できる。バターナッツカボチャには、心機能と筋収縮を助けるカリウムも含まれている。 そして低カロリーという魅力もある。 1カップあたりわずか80カロリーだが、食物繊維を6グラム以上含んでいる。

    2016年に学術誌『Scientific Reports(科学レポート)』で発表された研究によると、黄色やオレンジ色の野菜を食べることで心臓疾患のリスクを減らせる可能性がある。 研究者たちの説明によると、毎日の食事に取り入れて摂取量を増やすことで、心臓疾患のリスクを23%程度減らせる可能性があるという。

    カボチャの調理法:

    ヤング博士おすすめの調理法は、カボチャを焼いたり、オリーブオイルで軽く炒めたり、裏ごししてスープにしたりすることだ。 「カボチャの保存場所は、キッチンやパントリー内の涼しい棚。直射日光の当たらない場所が最も適しています」

  2. 2.ネギ

    健康にメリットをもたらす5つの冬野菜を管理栄養士がご紹介

    にんにく、玉ねぎ、チャイブの仲間であるネギは、栄養たっぷりの鱗茎菜だ。 血液凝固健康的な骨の造成に必要なビタミンKやマンガン、さらには多くのビタミンとミネラルが含まれているとコジック栄養士は説明する。

    「にんにくと同様に、ネギにもアリシン(健康に効果のある硫黄化合物)が含まれていて、抗がん性、コレステロール低減効果、抗菌性などに関連しています」

    2018年に学術誌『Nutrients(栄養素)』で発表されたナラティブレビューでは、研究者たちがさまざまな野菜の慢性疾病リスク低減効果について調査している。 研究の結果、ネギ、にんにく、玉ねぎなどのアリウム属の野菜を食べることで、心臓発作が起きる可能性を減らせるという傾向が確認された。

    ネギの調理法:

    この冬野菜を楽しむには、じゃがいもとネギのスープがおすすめ(コジック栄養士)。 オムレツやフリッタータに加えたり、ピザにトッピングしたり、炒めてサイドディッシュにしたり、パスタソースに加えたりしてもいいだろう。

    「ネギの利点は、丸ごと使えるので無駄が出ないところ。外側の固い葉や根の部分も、ブイヨンや出汁の素にしたり、ソースを作ったりするのに使えます」

    ネギは調理前によく洗っておこう。

    「ネギの内側には泥が付いていることも多いので、切った後は水切りボールに入れてよく洗ってください」とコジックは語る。 おすすめの保存方法は、泥や根が付いたままの状態で容器に入れ、冷蔵庫で保存すること。最長で2週間ほど美味しく食べられる。

  3. 3.ビーツ

    健康にメリットをもたらす5つの冬野菜を管理栄養士がご紹介

    多様な栄養がたっぷりのビーツは、まさに栄養のかたまり(ヤング博士談)。この根菜には、葉酸に加え、DNA製造や細胞分裂を促進するビタミンB群なども含まれている。 ビーツは鉄分と食物繊維を多く含む野菜でもある。鉄分は、肺から体全体に酸素を運んでくれる必須ミネラル。食物繊維は、消化や体重管理をサポートする植物性物質だ。

    ヤング博士は次のように説明する。「ビーツにはパワフルな抗酸化物質のベタレインも含まれています。深みのある赤い色もベタレインが原因。がん、心臓疾患、高血圧を改善するのに役立つ可能性があり、多くの健康効果をもたらします」

    また、2021年の学術誌『Food Science & Nutrition(食品科学と栄養)』に発表されたレビューによると、ビーツに含まれるベタレインは血糖値を低下させるのに役立つ可能性があり、筋肉痛を最小限に抑え、運動能力を高めてくれる。

    ビーツの調理法:

    ヤング博士おすすめの調理法は、ビーツを焼いてサラダやスムージーに混ぜること。焼いたビーツは、冷蔵庫の特に冷たく光の当たらない場所で短期間の保存が可能だ。 「調理前のビーツは、キッチンカウンターで3ヵ月保存できます」

  4. 4.コラードグリーン

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    キャベツ、ケール、ブロッコリーの仲間でもあるアブラナ科の葉野菜。コラードグリーンには、多くの栄養が含まれている。 さらには骨の健康と血液凝固(出血を止め、傷の回復を開始させるための作用)をサポートするビタミンKも豊富だ。

    「この冬野菜には食物繊維が多く含まれ、フェノール、ポリフェノール、アルファリポ酸といった抗酸化物質も豊富です。こうした栄養素には、炎症を抑え、体をフリーラジカルから守り、がんや心臓疾患のリスクを下げる効果があることがわかっています」

    同様の効果を裏付ける研究は数多く存在する。 たとえば、2021年に学術誌『Frontiers in Pharmacology(薬理学最前線)』で発表された医学レビューでは、グルコシノレート(ほぼアブラナ科の野菜にしかないファイトケミカル)と数々の慢性疾患の予防や管理との関連性が確認された。 こうした慢性疾患には、心臓血管疾患、うつなどの神経疾患、筋骨格疾患なども含まれる。

    コラードグリーンの調理法:

    コラードグリーンを使ったおすすめ料理は、オリーブオイルで炒めたサイドディッシュ。 刻んでサラダやコールスローに加えたり、ロメインレタスのように料理を包んだりしてもいい(コジック栄養士談)。 調理方法は他にもある。 コラードグリーンをピューレ状にして、オリーブオイル、松の実、パルメザンチーズを加えて混ぜればペスト風のソースにもなる。

    コジック栄養士は語る。「この野菜は、本当にたくさんの料理に使えます。ほうれん草やケールのようにスープやシチューに加えたり、ピザのトッピングにもできます。 またケールチップスのように、コラードグリーンチップスも塩味の効いた歯ごたえのあるスナックにもなります」

    コラードグリーンは、冷蔵庫で1週間ほど保存できる。

  5. 5.ルタバガ

    健康にメリットをもたらす5つの冬野菜を管理栄養士がご紹介

    かぶとキャベツの中間にあるルタバガは、豊富なグルコシノレートに加え、マグネシウムとカリウムも含まれている。アスリートにとって重要な2大電解質だ(コジック栄養士談)。

    「ルタバガには、ビタミンC、ビタミンE、グルコシノレートが豊富。コラーゲン合成を手助けし、皮膚を紫外線によるダメージから守るので、皮膚を最適な健康状態に保ってくれます」

    ルタバガの調理法:

    焼いてサイドディッシュにするか、サツマイモの代わりにルタバガを使ったフライドポテトを作ってみよう。

    「ルタバガには甘味とかすかな苦みがあり、スパイスやハーブと混ぜると豊かな風味が出ます。私はじゃがいもやカリフラワーのマッシュのように、ルタバガのマッシュを作るのが好きですね」とコジック栄養士は語る。

    購入時には、固くて重みのあるルタバガを選ぶこと。室温なら1週間、冷蔵庫なら2週間ほど保存できる。

文:エイミー・カペッタ

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公開日:2023年1月19日

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