ブラを着けたまま寝てもいい? 専門家が解説

健康とウェルネス

就寝時のブラの着用に関するヒントやメリット、落とし穴について、専門家の意見を参考にしよう。

最終更新日:2022年9月27日
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ブラを着けて寝るべきか: エキスパートが解説

ブラを着けたまま寝るのは健康的なのだろうか。そんな疑問を抱えている女性も多いはず。 ブラを着けて寝ることで、抱擁されているような安心感を覚える人もいる。その一方で、とにかく不快でしかないと感じる人もいるだろう。

就寝時にブラを着用することが、いったい胸の健康にどんな影響をあ与えるのか。専門家の解説を紹介しよう。

ブラを着けて寝ることは体に良くない?

端的に言えば、答えはノーだ。ブラを着けて寝ても問題はない。 とはいえ、着けないで寝るよりも健康的という訳ではない。

「寝るときにブラを着けるかどうかは、個人の好みによります」と語るのは、ホリスティックヘルスの専門家でもあるスザンナ・ウォン医師(カイロプラクティック専門医)だ。

ブラを着けて寝る潜在的なメリット

ブラを着けて寝ることに、メリットを感じる人もいる。 だが考えられるメリットを説明する前に、重要な点を述べておこう。ウォン医師によれば、着用するブラの種類は関係がない。

ワイヤー入りのブラを着けて眠りたいなら、そうすればいいのだ。 「ワイヤー入りのブラを着けて寝ると背中に良くない。そんな話も聞きますが、事実ではありません」とウォンは言う。

同様に、スポーツブラを着けて眠っても問題ない。 スポーツブラを着けて寝ることは良くないことなのか。乳房再建の専門家でもあるコンスタンス・M・チェン医師(形成外科医)によれば、その答えは「ノー」だ。 「スポーツブラが胸の成長を妨げると信じている人がいますが、そんなことはありません」

  1. 1.首と背中の痛みを軽減する可能性

    ブラは日中の活動で胸を支え、背中への負荷を軽減するようにデザインされている。 だが胸の大きな人の中には、眠っている間も背中にかかる負荷を軽減する必要がある人もいる(ウォン医師談)。

    夜間にブラを着用して胸を支え、過度な動きを避けることによって、結果的に背中にかかる負荷を軽減できる可能性があるとのことだ。 起床時に背中(上でも下でも)や首に痛みを感じる場合や、上半身の筋肉が強張っているような感覚を覚える場合は、ブラを着けて寝てみてもいいとウォン医師は提案している。

  2. 2.ホルモンによる胸の痛みを軽減する可能性

    生理前の数日間、エストロゲンと黄体ホルモンの増加による胸の張りや乳首の痛みが生じる場合は、その期間中だけブラを着けて寝てみることもウォン医師は推奨している。

    うつぶせ寝の人や、睡眠時によく動く人の場合は、特に胸の痛みで目が覚めてしまうことが多いとウォン医師は言う。「毎月決まった時期に胸の痛みを覚える場合は、ブラを着けて寝ることで症状が軽減され、快適に眠れるようになる可能性があります」

  3. 3.ピアスによる怪我を防ぐ可能性

    認定形成外科医のアレクサンダー・ズリアリン医師は、乳首にピアスをしている人に場合は、ブラを着けて寝ることを推奨している。

    「眠っている間の動きによって、ピアスがひっかかり、乳首の繊細な組織を壊してしまう恐れがあります」とズリアリン医師は話している。

    注意したいのは、眠っている間に胸が動いているかどうか本人に自覚がない場合もあるという点だ。 「レム睡眠(深い眠り)に入ると、人は自分が何をしているのか把握できません」とズリアリン医師は説明する。

  4. 4.胸のたるみを防ぐ可能性

    ひとつだけ明言しておこう。形、大きさ、色、重みによる優劣はない。どんな胸でも素晴らしい。

    だが、張りのある胸になりたいという人は実際にいる。 そんな人は、寝るときにブラを着けてみてもいいかもしれない。 「ブラを着けて寝ることで、胸のたるみを軽減できる可能性があります」とズリアリン医師は言う。 ブラを着用することで、寝ている間に胸が片側に落ちたり、偏ったりすることが防げるとズリアリン医師は説明している。

    だが、たとえブラを着けて寝る習慣を続けていても、歳を重ねるうちに胸がたるんでいくことは避けられないだろう。 ホルモン、体重、加齢などの様々な要因によって、胸がたるんでいくことは自然なことなのだ。

    「妊娠、更年期、授乳によって、胸の形や重みが変化することはよくあること」とズリアリン医師は言う。 「授乳時も妊娠過程と同様に、乳房の充血によって胸が著しくたるみ、これが皮膚の伸張に繋がります」

    また更年期障害も、加齢に伴って皮膚が薄くなる原因となり、胸のたるみに繋がるとズリアリン医師は述べている。

ブラを着けて寝ることの潜在的なリスク

就寝時にブラを着けることが、背中と胸の健康に繋がる人もいる。 だがその一方で、ブラを着けない方が良い人もいる。 寝るときにブラを着けることで考えられる落とし穴について見ていこう。

  1. 1.呼吸の妨げになる可能性

    「ブラは胸を締め付けるようにデザインされています」と語るのは、カイロプラクティック専門医のブレッセン・アブラハム医師だ。 この締め付けによって、ブラは立位時に胸を効果的にサポートしてくれる。だが横になる時は、この機能が弊害となる可能性がある。

    「仰向けで寝る時、ブラのバンドが胸の中心にずり上がってしまうことがあります」とアブラハム医師は説明する。 「このずり上がってしまったバンドによって、胸郭が完全に拡がれず、しっかり呼吸ができなくなる恐れがあります」

    その結果、 安眠が妨げられてしまうのだ。 起床時に疲労を感じ、その原因がブラにあると考えられる場合は、ブラを着けずに寝ることを検討しよう。

  2. 2.不快感を覚える可能性

    多くの人がオーバーサイズのTシャツや、ゆったりとした服をパジャマに選ぶのには理由がある。単純に心地良いのだ。 その一方で、ブラを着けて眠ることについては、快適に感じる人もいれば、不快に感じる人もいる。

    「ブラを着けて寝ることの主なデメリットと言えば、一部の人にとっては不快に感じることがあるという点です」とチェン医師は言う。

    つまり、ブラを着けて寝るのが不快なら、ブラを着けずに眠ればいい。 ただ、それだけだ。

  3. 3.汗をかきやすくなる可能性

    タイトなシャツやパンツで汗をかきやすくなるのと同じように、きつすぎるブラも発汗を促すとチェン医師は言う。 溜まった汗は悪臭や炎症、さらにはイースト菌の増殖にも繋がる。

    起床時に胸の谷間に汗が溜まっているようなら、ブラを着けずに寝ることも検討しよう。 もうひとつの選択肢として、 寝るときに着けるブラを、一般的なものよりも通気性が高いコットン製のブラに変えてみてもいいとチェン医師は提案している。

結論

就寝時のブラの着用は、一概に良いとも悪いとも言えない。 自分の胸、背中、乳首、皮膚にとって、最も快適な方を選ぶことが重要だ。

文:ガブリエル・カッセル

公開日:2022年9月27日