肩回旋筋腱板炎の症状と治し方 エキスパートの解説

スポーツ&アクティビティ

肩の痛みは、医師の診察を受ける最も多い理由の一つだ。 このよくある炎症について知っておくべきことをチェックしよう。

最終更新日:2022年7月25日
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ローテーターカフ腱炎の症状と治療法とは? エキスパートの解説

週末に運動に励む人にも、大学アスリートにも、フィットネスに取り組み始めたばかりの人にも、オーバーワークによるけがのリスクがあり、そのリスクが現実となることも多い。 スポーツやアクティビティの種類によっては、体のさまざまな関節や部位に腱の炎症(腱炎)が生じる可能性がある。 米国人の成人が最も多く訴える症状のトップ2を占めるのは、背骨と膝の痛みであることが、研究で分かっている。 そして第3位は、 肩の不調だ。 実際に、米国人の成人の約67%が一生のうちに肩の痛みを経験する。

同じ研究によると、このような肩の痛みの症例の中でも、回旋筋腱板のけが(特に回旋筋腱板の炎症と腱障害)が最も頻発する傾向にある。 このけがを負うと、肩を上げる際に不快感や痛みが生じるようになる。 それでは、回旋筋腱板のけがはどのように悪化するのだろうか? そして、どのような症状から始まるのだろうか? その理由や詳細、治療方法について解説しよう。

回旋筋腱板とは?

米国整形外科学会(AAOS)によると、回旋筋腱板とは、腕の長い骨(上腕骨)の先端を覆う筋肉と腱の集合体を指す。 腕を上げたり動かしたりする際に回旋筋腱板を使う。

回旋筋腱板炎とは?

腕を頭上に上げると、痛みが生じないだろうか?

「回旋筋腱板炎とは、回旋筋腱板の急性炎症性疾患です」と理学療法士のメアリー・ケイト・ケイシーは言う。 理学療法博士(D.T.P.)の資格を持ち、シカゴでPREP Performance Centerを経営している。

回旋筋腱板炎はどのように生じるのか? この症状は、ウェイトリフティングや野球での投球など、頭上に腕を上げる運動を繰り返し行うと生じるが、プッシュアップやプルアップによって生じる場合もある。 Cleveland Clinicによると、このような反復運動が刺激となり、やがて骨との摩擦によって回旋筋腱板の筋肉が擦り減る。 そして、処置を怠ると筋肉が断裂してしまう。

また、肩の反復運動によって、肩の動き方が変化し、問題が生じることもある。「時間が経つにつれて、肩の機構が変化して機能障害を起こしやすくなり、腱が摩耗して、パキパキ、コリコリという音が鳴るようになります」とケイシーは言う。 また、転倒時に伸び切った腕で体を支えたり、肩に衝撃を受けたりすることで、腱炎が発症することもある。 AAOSによると、腱炎の発症には「明らかな原因がない」場合もある。

また、おそらく回旋筋腱板への血流が不足していることが原因で、回旋筋腱板炎(または断裂)が起こりやすい人もいる。そう語るのは、フロリダ州ドラルにあるBadia Hand to Shoulder Centerの創設者であり、OrthoNOWの最高医療責任者も務めるアレハンドロ・バディア医学博士だ。 バディア博士によると、血流が少ない人がいる理由はよく分かっていない。しかし、「運動をする習慣がなく、このタイプの肩の痛みを発症する人が多いです。 [回旋筋腱板炎にかかる人は]四六時中ジムにいるというわけではないのです」と博士は述べている。 回旋筋腱板の組織を健康かつ柔軟な状態に維持するためには、十分な血流によって酸素と栄養素を届ける必要がある。

「ほとんど血流のない腱は、レザーのような見た目をしています」とバディア博士は言う。

回旋筋腱板炎のよくある症状

ケイシーによると、肩の上部や背面に不調が生じ、安静時や、腕を頭上に上げるとき、原因となるアクティビティを行っているときに、不調が徐々に強くなっていく。

何かが「おかしい」と感じる主なタイミングは、腕を上げるときだ。「床に対して平行以上(約90°)に腕を上げると、滑液包と回旋筋腱板が少し『引っかかり』始めます」とバディア博士は述べている。

また、AAOSによると、初めの腫れや圧痛は軽度だが、腱炎が悪化するにつれて、夜に痛みが生じ、力が入らなくなり、腕を背後にまわすのが難しくなる。

ローテーターカフ腱炎の症状と治療法とは? エキスパートの解説

回旋筋腱板炎の治療法

まず、診断を受ける必要があるため、 整形外科医院に行くことをバディア博士は勧めている。 または、医師やその他の有資格の医療専門家に相談しよう。 回旋筋腱板炎の診断をするには通常、レントゲンやMRIによる検査を行うとバディア博士はいう。 痛みをもたらす他の原因(関節炎など)を除外するためにレントゲンを、 回旋筋腱板炎の診断を下し、部分的または完全な断裂まで進行しているかを確認するためにMRIを使用する。

ケイシーによると、不調が生じてから最初の数週以内に、肩の可動範囲、筋力、筋肉のこわばり、肩甲骨の機構、姿勢を理学療法士に評価してもらうとよい。 それが終わったら、患者は理学療法士と協力し、腱炎につながる可能性のある肩のあらゆる機能障害の治療を開始する。

幸いなことに、「回旋筋腱板炎は、まだ急性炎症状態であれば、かなり短期間で治すことができます」とケイシーは言う。

回旋筋腱板炎の一般的な治療法は、以下のとおりだ。

直接的な施術:ケイシーによると、関節モビライゼーション、マッサージ、姿勢矯正による可動範囲や機構の改善などがこれに当たる。

ストレッチ:ストレッチエクササイズは、肩の周りの筋肉のこわばりを解消するために役立つ。 腕をアメフトのゴールポストのような形にして、フォームローラーの上に仰向けになるストレッチがおすすめだ。 やり方は次のとおり。

  • フォームローラーを縦向きに置いて、その上に背骨をのせて仰向けになり、頭からへそまでが完全に支えられている状態にする。
  • 膝を曲げ、足の裏を床に優しく押し付けて、バランスをとる。
  • 腕をアメフトのゴールポストのような形にして、肘を胴と同じ高さに上げて維持する。
  • 背骨は常に自然な状態に保つ。 腰とフォームローラーの間に小さなすき間ができる。

このストレッチは、ワークアウトの前に行うのもよい。 「重力に身を任せて胸部前面を開くことで、筋肉が活性化され、筋力トレーニングに向けて体の準備が整います」とケイシーは説明する。 「体の前面をほぐし、背面を開くことで、エクササイズ中にできる限り効率的に体を動かせるようになります」 (詳しくは以下を参照。)

筋力トレーニング:ケイシーによると、ウェイトを使ったエクササイズで肩の弱い筋肉を鍛えることで、機構と姿勢が改善され、関節と肩甲骨が安定する。 「重いウェイトではなく、適切な重さのウェイトを使い、運動中に姿勢をコントロールし続けられるようにしてください」とケイシーは言う。 特に理学療法士の細かい指導を受け、この肩に狙いを定めた上半身の筋力トレーニングを適切に行う方法を身に付ければ、腱炎の再発を防止することができる。

回旋筋腱板に特化したエクササイズ:バディア博士のおすすめは、ダンベルを使った外転運動だ。これを行うことで、回旋筋腱板への血流を促すことができる(ただし、筋肉を鍛える効果はない)。 軽いダンベル(0.5kg~3kg)を2つ用意しよう。 手順は次のとおり。

  • 右向きで横になり、頭を右手で支える。
  • 左手に軽いダンベルを持ち、腕を90°に曲げたまま上腕を体に押し付ける。
  • ダンベルを持ち上げ、天井に向かって腕を回す。
  • ダンベルを腹部に戻す(三角巾で腕をつっているような状態)。

これを左右15~20回ずつ繰り返す。

日常生活の見直し:ケイシーによると、仕事でデスクに長時間座っている場合は、正しい姿勢で座ることが、回旋筋腱板の健康につながる。 オフィスエルゴノミクスを取り入れ、デスクでの正しい座り方を追求するとよい。 たとえば、腕1本分離れた位置にコンピューターのモニターを置き、床やフットレストに足をぴったりとつけることができるチェアを選ぶ。スマートフォンを使うときは、前かがみにならずにまっすぐ座り、画面を顔の前に持ってくる。

文:ジェシカ・ミガラ

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公開日:2022年7月1日

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