アスリートの新しい栄養源になる食材とは

Coaching

ジャガイモの摂取から得られるエネルギーや耐久力、回復力の最新研究結果をエキスパートが紹介。

最終更新日:2020年12月1日
パフォーマンスを向上させるジャガイモの効果

炭水化物のでんぷんが敬遠され、食物繊維の豊富なサツマイモが注目されるようになって以来、ジャガイモの人気は低迷してきた。しかし、ジャガイモがアスリートにもたらすメリットに関する最近の研究結果を踏まえると、食卓にジャガイモ料理を加えてみてもいいかもしれない。

ジャガイモの実力

ジャガイモは炭水化物のでんぷんを多く含む。含有量は大きいもので1個あたり約65グラム。アスリートにとって、これは悪いことではない。でんぷんは消化が早い炭水化物なので、運動に必要なエネルギーとしてすぐに利用できる。こう語るのは、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校博士候補生であるアマデオ・サルバドール氏。

ジャガイモには大事な微量栄養素であるカリウムも含まれる。筋肉の収縮に関わる電解質の一種だ。大きいジャガイモ1個には、約1,570ミリグラムのカリウムが含まれる。これは1日の摂取基準量のおよそ半分であり、バナナ1本から取れる量よりかなり多い。

力強いスタートを切るために

トレーニング前は、プロテインシェイクを飲んだり、プロテインバーやピーナツバタートーストを食べたりするだろう。代わりに、ジャガイモを食べることを真面目に考えてみよう。「ジャガイモには、筋肉にたくわえらえるグリコーゲンを増やす働きがあります。持久力を鍛えるトレーニングでも筋力を鍛えるトレーニングでも、グリコーゲンは筋肉に欠かせないエネルギー源です」とサルバドール氏。

少量のオリーブオイルと塩で味付けしたベイクドポテトやマッシュポテトなど、シンプルなジャガイモ料理を運動の前に食べると、ワークアウト中にエネルギーを発揮する効果も期待できる。そう説明するのは、ニューオーリンズにあるOchsner Fitness Centerの登録栄養士モリー・キンボール氏だ。ワークアウトの1時間ほど前に、空腹にならないで済むよう、しかし満腹にならない程度にジャガイモを食べることをキンボール氏は勧めている。「炭水化物を食べてから数時間が経つと、血糖値が急激に下がるのを感じるでしょう。そうなるとワークアウトはきつくなります」

「ジャガイモには、筋肉に蓄えられるグリコーゲンを増やす働きがあります。持久力を鍛えるトレーニングでも、筋力を鍛えるトレーニングでも、グリコーゲンは筋肉に欠かせないエネルギー源です」

アマデオ・サルバドール
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校博士候補生

エネルギーを持続させる

持久力が必要なスポーツをするアスリートには、ジャガイモは有望なエネルギー源だ。サルバドール氏が率いた調査では、アスリートに2時間のサイクリングをしてもらい、その最中15分おきに炭水化物120g(大きいジャガイモおよそ2個分)を含むジャガイモのピューレかエナジージェルのどちらかを摂取してもらった。その結果、ワークアウトのパフォーマンスを維持する効果はジャガイモもジェルも同等であることが明らかになった。

「ジェルは便利かもしれませんが、加工食品であり、栄養価はジャガイモに劣ります。その点ジャガイモは混ざりもののない純粋なエネルギー源です」とサルバドール氏は言う。ジェルはコストもかかる。ピューレはどうも気が進まないというのなら、一口大にカットしたジャガイモを、油を使わないエアフライヤーで揚げたものがおすすめだ。1時間以上のワークアウトを行うときは、袋に入れて携帯し、15-20分おきに1切れずつ食べるとよい(分量は1時間あたりジャガイモ1個まで)。1時間未満のトレーニングなら炭水化物を携帯する必要はないだろうとキンボール氏は言う。

すばやい回復のために

栄養学の専門家なら誰でも、ワークアウト後のリカバリーを速めるには炭水化物が欠かせないと言うはずだ。オートミールやプロテインバナナシェイク、そしてジャガイモも候補に入る。

「持久力トレーニングの後の食事には、水分補給、筋肉の回復、リカバリーを助け、電解質とグリコーゲンを補給できる食品が理想的です」とサルバドール氏。ジャガイモはこの条件をすべて満たしている。「ジャガイモは75%が水分でミネラルも豊富。しかも炭水化物を多く含むのでグリコーゲンもすばやく補充できます」

ワークアウト後30分から60分以内に、大きめのベイクドポテトかローストポテトを1個と鶏肉、魚、グルテンミートなどのタンパク質を85g摂取するとよい、とキンボール氏はアドバイスしている。

ジャガイモの弱み

最近発表された他の研究では、特に女性アスリートにとって良質なタンパク源になるとしてジャガイモが見直されている。これはある意味、特に野菜として見た場合には正当な評価だと言えるだろう。

しかし、タンパク質含有量は大きいものでも約8gに過ぎず、低脂肪の動物性タンパク質や豆類などの食品と比べると十分なタンパク源とは言えないとキンボール氏。ジャガイモはむしろ炭水化物源であり、おまけとしてある程度タンパク質も取れると考えたほうがよいだろう。ナッツバターが主に脂肪で、多少タンパク質を含むのと同じことだ。

また、サルバドール氏の研究では、アスリートがジャガイモを食べたときに消化不良を起こす割合が、ジェルや水だけを取ったときと比べてわずかに高かった。他の新しい食べ物を試すときと同じく、どのように調理していつ食べるのが自分の体に効果的か試しておく必要があるとのこと。レースに持参する場合は特に注意が必要だ。

サツマイモの方が評判も色合いも良いかもしれないが、正しい食べ方をすれば、ジャガイモも優れた栄養源だと言える。

パフォーマンスを向上させるジャガイモの効果

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エキスパートが提案する考え方、運動、食事、リカバリー、睡眠に関するガイドをさらに見るには、Nike Training Clubアプリをチェック。

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公開日:2020年8月13日

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