流産後に体をいたわりながら運動を再開する方法

Nike (M) が登場

運動することで気分が晴れ、ストレスや深い悲しみを発散できることもある。心身の準備が整ったら、急がずゆっくりと運動を再開しよう。

最終更新日:2022年11月9日
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  • 流産を経験した後の回復プロセスは、状況によってまったく異なる。おしなべて言えるのは、まず時間が必要だということ。
  • 運動にはストレスホルモンを減らすメリットがあるため、体と心を癒やす効果が期待できることも研究で明らかになっている。
  • 体を動かす意欲が一時的に失われたとしても、メンタルヘルスに役立つ運動の効果に着目することで、モチベーションを高められる可能性がある。

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流産後のエクササイズ方法についてエキスパートが解説

*このコンテンツの目的は情報提供と意欲の向上であり、診断、治療、特定の医療に関するアドバイスを意図したものではありません。妊娠前、妊娠中、出産後の健康と安全の維持については、必ずかかりつけ医に相談してください。

流産を乗り越えるのに、決定版の対処方法など存在しない。妊娠の経過や流産に至る理由なども、妊婦によってさまざまだ。だが、どんな人にも当てはまる事実があると語るのは、カリフォルニア州オークランド在住のアマンダ・ウィリアムズ医学博士(認定産婦人科医、Nike (M)ove Like a Mother顧問)。それは、運動が心身を回復させる支えになるということ。流産の後で安全に運動を再開するためのアドバイスが欲しい人は、このガイドを参考にしてほしい。

ゆっくり時間をかけよう。

出産であれ、流産であれ、妊娠の状態が終わるとエストロゲンとプロゲステロンが急激に減少し、抑うつ状態や不安感が生じやすくなる。そう語るのは、シカゴ在住のクリスタル・クラーク医学博士(ノースウェスタン大学フェインバーグ医学院精神科産婦人科准教授)だ。特に流産の場合は、深い悲しみやトラウマに対処しなければならない。運動する気になれなくても、それは当然のこと。ゆっくり数週間ほど休んで、つらい経験を整理する時間が必要だ。多くの場合、心が癒えるのは、体が癒えたずっと後のことになる(ウィリアムズ博士談)。

かかりつけの医師に相談しよう。

流産の数日後でも、ウォーキングなどの低負荷アクティビティなら通常は問題ない(ウィリアムズ博士談)。だが高負荷のワークアウトについては、取り組んでも支障がないかどうか医師に確認しよう。医師の立場なら、妊娠や流産に至る経過を踏まえ、ひどい出血が続いていないか調べた上で判断してくれるはずだ(ウィリアムズ博士談)。妊娠の初期、中期、後期のどの時点で流産に至ったのか。投薬や処置が必要だったのか。帝王切開を受けたのか。さまざまな要素によって、回復プロセスも運動再開までにかかる時間も異なってくる。

妊娠初期に流産した人は、おおむね出血が止まるかごく少量になってから1~2週間ほどで運動を再開しても問題ない(ウィリアムズ博士談)。ひどい出血が続く場合は、激しい運動は控えること。大量出血を引き起こすリスクが高まる。

妊娠後期に流産した人は、エネルギッシュなワークアウトを再開できるようになるまでに3~4週間ほどの休息が必要だ。帝王切開を受けた場合は、プランクなどの腹筋エクササイズを再開するまでに8~12週間以上休む必要がある。ただし呼吸を意識して行うコアエクササイズや、骨盤底筋を回復させるワークアウトは助けになる(詳細は後述)。

流産後のエクササイズ方法についてエキスパートが解説

無理のないように再開しよう。

運動を再開するときは、無理のないように始めてほしい。たとえばウォーキング(最初は5〜10分に留める)や穏やかなヨガなどの低負荷アクティビティだ。そう語るのは、ペンシルベニア州ドイルズタウンでTrimester Fit Bodyを運営するメーガン・ローゼンフェルド氏(Nikeトレーナー)。自身も流産の経験者だ。ウォーキングのメリットは、外に出られること。自然に触れることで、コルチゾールなどのストレスホルモンを減らせる可能性がある(ミシガン大学の研究で立証済み)。「ウォーキングはカタルシス効果が抜群です。自分に寄り添い、思考を深める時間にもなります」

さらにギアを上げる準備ができたら、ウォーキングの時間を伸ばし、ジョギング、水泳、軽めのウェイトを使ったリフティングなどへ負荷を徐々に上げていこう。気持ち良く取り組めて、もっとチャレンジしたいと思うなら、よりハードなワークアウトに移ってもいいだろう。

出血、発熱、悪寒、痛みなどの症状が新たに生じたら、運動を即座にやめて医師に相談しよう。こういった症状が現れることはまれだが、米国産科婦人科学会では感染症の兆候である可能性も否定できないとしている。

呼吸だけでもOK。

ワークアウトに興味がない人には(それもまったく普通のこと)、横隔膜を使う腹式呼吸がおすすめだ(ローゼンフェルド氏談)。リラックスしながら、コアの筋肉に働きかける。腹部を覆う腹横筋(最も深層に位置する筋肉)と、妊娠時の重い体を支えて疲労した骨盤底筋とのつながりを強化できる。

腹式呼吸は、流産後すぐにでも実施できる。ベッドから起き上がる必要もない。鼻から息を吸いながら、胸郭を横方向に膨らませ、骨盤底筋が緩むのを感じよう。次に口からゆっくり息を吐き、骨盤底筋を引き上げながら、お腹を引き込むように意識する。骨盤底筋の動きを感じるのが難しい場合は、恥骨と尾骨の間の筋肉でブルーベリーを拾い上げて挟んだままにするイメージで(ローゼンフェルド氏談)。

腹式呼吸のコツをつかめば、汗もかかずにコアの安定を強化できる。

心理的なメリットに目を向けよう。

悲嘆に暮れている時期は、無理に運動しなくてもいい。しかし運動したいという意思がありながら、数週間経ってもワークアウトが再開できていない場合は、「運動は心の健康を取り戻す手段の一つ」という事実を思い出そう(クラーク博士談)。まずはメンタルヘルスを向上させるための行動と考えてみてもいい。心が癒やされるうえ、モチベーションの向上にもつながる。

ローゼンフェルド氏は自身の経験を振り返り、ワークアウトが流産の喪失感を感情面で整理する助けになったと語っている。「ランニングができるようになって走り出したら、汗が体から流れるのと同時に、涙もあふれ出てきました。それは、とても気持ち良かった。頑なにため込んでいた感情を、運動によって体が発散できたのです」

つらい気持ちを押し出して、明るい未来を信じよう。

文:レイチェル・ラブキン・ピーチマン
写真:ビビアン・キム

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公開日:2022年11月18日

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