雨の日も安全に走るためのヒント

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雨の日も安全にランニングを楽しもう。専門家からのアドバイスをチェック。

最終更新日:2022年10月28日
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雨の日のランニングについて知っておきたいこと

やる気満々でランニングウェアに着替え、ウォームアップも完了したあなた。でも外に出たら、ポツポツと雨が降り出した。 さあ、どうする? 今日はジョギングを諦めるか、屋内のトレッドミルにするか、思案のしどころだ。 雨の日のランニングについて、あらかじめ知っておくべきことがある。突然の雨でも楽しく安全に走る方法について、専門家のアドバイスを紹介しよう。

(関連記事:ランニング前のウォームアップ方法をエキスパートが解説)

「雨の日こそ、ランニングに最適な環境だという人もいます」と語るのは、 ステイシー・T・シムズ博士(運動生理学者、栄養科学者)。雨天のランニングは、まず穏やかな気持ちで走れるという利点がある。 雨が降るときの独特な匂い(ペトリコール)は、人間の心を惹き付ける。さまざまな研究によると、この匂いには心を落ち着かせてくれる効果がある。つまり雨天でのランニングは、ストレス緩和に役立つ可能性がある。 走り始めたときよりも、穏やかな気持ちで走り終えられるかもしれない。

それにランニングは、ほぼ天候を問わないスポーツでもあるとシムズ博士は言う。 レースに向けてトレーニングしている場合はなおさらだ。 雨の日も走る経験を積んでおけば、トレーニングが計画どおりに進められるし、雨天のレースに出走する準備にもなる。 「レース当日は、どんな天候になるのかわかりませんから」とシムズ博士は言う。

またアリ・フェルゼンタール氏(NCSF認定パーソナルトレーナー、UESCA認定ランニングコーチ、NASMパフォーマンスエクササイズスペシャリスト)は次のように語る。「雨の日に走ってコンフォートゾーンから抜け出し、自分を追い込むことで精神面がさらに鍛えられます。不確かなものに向き合うのは怖いけど、そこから逃げずにチャレンジするのも大切。トレーニングでもレースでも、心身両面の壁を突き破れます。 こういった経験は、どんなランナーにとっても必要不可欠なのです」

そうは言っても、いきなり滑りやすい雨の道路に足を踏み出すのは危険だ。走り始める前に、いくつかのポイントを押さえておこう。

雨の日のランニングについて知っておきたいこと

雨の中で安全に走る方法

雨の中を走ること自体は、おおむね安全な行為だと考えられている。それでもいくつかの注意点はある。 大前提として、大雨、雷、洪水が発生しているときは、外で走るべきではない。シムズ博士は言う。 「雨の中を走れば精神が鍛えられるからといって、危険な状況で走る必要はまったくありません」

危険な環境で走ることは、怪我にも繋がりかねない。 フェルゼンタール氏も次のように語る。「毎回のランの目的を常に忘れず、友人やコーチに相談すれば、うまいやり方を見つける助けになるでしょう。 ランナー膝、足底筋膜症、股関節インピンジメント、ハムストリングの肉離れ、足首の捻挫といった関節の怪我は、いつ起こってもおかしくありません。 だから大雨の日には、近所のジムに行ってみてもいいでしょう。そこでトレッドミルを使うのもひとつのアイデアです」

あくまで雨の中を走ることに決めたのなら、最も重要な安全策のひとつが視認性だ。 道路や歩道を走る際には、リフレクティブ(再帰反射)パネルが付いた明るいネオンカラーのウェアを着よう。なるべく車の進行方向とは逆向きに走り、ドライバーから見えやすいようにすること(シムズ博士)。

雨の日は、濡れて滑りやすい路面で走ることになるので転倒の危険も増す。 そこで怪我のリスクが減らせるヒントをチェックしよう。

雨の日も安全に走るためには、適切なシューズ選びが欠かせない。 トラクションに優れたシューズなら、地面をしっかり掴んで転倒を防いでくれる。

(関連記事:初心者に最適なNikeランニングシューズの選び方

スピードトレーニングを予定していた日に雨が降ったら、 トレーニングの内容を変更した方がいいだろうとシムズ博士は言う。 「雨の日は、軽めのランニングだけにしておきましょう。軽く走るだけなら、周囲の環境や路面の状態にも注意を払えますから」

フェルゼンタール氏も言う。「雨の日は、走るペースを遅めにすることが大切。場合によっては、トレーニングの日程を変えてみましょう。雨の日には、会話ができる程度の軽いランニングが適しています」

体温にも注意が必要だ。 雨の中を走って体が濡れると、低体温症になるリスクが高まる。低体温症は、医療措置が必要な緊急事態のひとつ。外部からの絶え間ない冷却が、体の自然な発熱ペースを上回ることで生じる。 メイヨークリニックによると、最悪の場合には危険なレベルにまで体温が低下する恐れもある。

天候に関わらず、ランニング前には必ずウォーミングアップをしてほしいとシムズ博士は言う。

「雨が降っていると、体が温まるまでに時間がかかる可能性があります。だから雨の日にランニングをするときは、ウォームアップが特に重要になります。 ストレッチだけでなく、体を動かすタイプのウォームアップをしてください。 スクワット、Aスキップ、Bスキップ、リバースランジなどがおすすめです」

雨の日のランニングに最適なギア

低体温症から自分を守るには、コットン素材は避けた方がいいとシムズ博士はアドバイスしている。 「コットンは雨の水滴や湿気もすべて吸収してしまうため、外の気温によっては低体温症のリスクが高まります。肌との摩擦も気になってくるでしょう」

摩擦を防ぐには、コンプレッション型のショートパンツを着用したり、摩擦防止クリームを塗布するといいだろう。

(関連記事:暖かくドライな着心地をキープする、雨の日に最適なギア)

撥水性素材のウェアを選ぶことも大切だ。 冬の雨に濡れながらランニングをするなら、メリノウール製のギアを着用してもいいだろう。同じ撥水性素材でも、ポリエステル製とは異なって、濡れたときに肌触りがひんやりしない(シムズ博士)。

つば付きの帽子をかぶるのもおすすめだ(フェルゼンタール氏)。雨で顔が濡れるのを防ぎ、視界も確保できる。

ランニング時の天候に関わらず、ワークアウト後は必ずウェアを洗濯してカビの発生を防ごう。 レース用のシューズを濡らしたくないなら、雨の日には別のシューズを履くことに決めておけばいいだろう(フェルゼンタール氏)。 ランニング後の濡れたシューズには、新聞紙を詰めておけば湿気を吸収してくれる。 シューズをそのまま乾燥機や洗濯機に放り込むことだけはやめてほしい。

文:フェイス・ブラー

公開日:2022年10月20日

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