筋力トレーニングで代謝を改善する4つの方法

スポーツ&アクティビティ

代謝を増やし、体組成を変えるために、最初は重量挙げプログラムを行おう。

最終更新日:2022年6月30日
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筋力トレーニングで代謝がアップする仕組み

レジスタンストレーニングには多様なメリットがある。筋肉量の増加、柔軟性の向上、バランス能力の向上などが期待でき、高齢者には特に効果的だ。 実は、筋力トレーニングは代謝の向上にも役立つ。

体を変えたい人のために、今回は代謝機能に有益なウェイトトレーニングから、代表的なものを4種類紹介しよう。

  1. 1.ワークアウトでカロリーを消費する

    あらゆる形態のエクササイズがそうであるように、筋力トレーニングはカロリーを消費する。 消費カロリーの正確な数値は、体重やトレーニングの強度によって異なるが、米国運動協議会(American Council on Exercise:ACE)はさまざまなウェイトトレーニングに関する推定値を出している。

    激しいウェイトトレーニングを1時間行った場合の消費カロリーは、体重約80kgの人で462kcal、約55㎏の人で326kcalとなる。 ただし、強度が低下すると消費カロリーも減少する。 たとえば前述の2人が中強度のウェイトトレーニングを1時間行うと、消費カロリーはそれぞれ231kcalと163kcalにしかならない。

  2. 2.ワークアウト後に消費カロリーを増やす

    ウェイトトレーニングのワークアウト終了後も、運動後過剰酸素消費(EPOC)の効果によって、1日中カロリーの消費量が増加した状態を保つことができる。 EPOCは高強度インターバルトレーニング(HIIT)と結び付けられることが多いものの、複数の研究でレジスタンストレーニングにもメリットがあることが示されている。

    Research Quarterly for Exercise and Sport』誌2015年2月号の研究論文によると、普段から中程度の運動を行っている男性が定常状態でカーディオトレーニングを行った場合と比較すると、レジスタンストレーニングとインターバルトレーニングではどちらもEPOCが増加した。

  3. 3.除脂肪筋肉量を増やす

    筋力トレーニングは、体の除脂肪筋肉量を増やすことで安静時代謝量(RMR)を上げる効果がある。 RMRとは、呼吸、循環、消化など、基本的な身体的機能を実行するために体が必要とするカロリーだ。

    除脂肪筋肉組織は、脂肪よりも代謝が活発であるため、体の筋肉量が多ければ安静時でも必要なエネルギー(カロリー)が多くなる。ただし実際のカロリーの数値には議論の余地がある。 筋肉量が増加すると1日あたりのカロリー消費量を数百増やすことができるという説もあるが、それは大げさであるようだ。to make it more natural

    脂肪と筋肉の消費カロリーを比較した研究は、正確な測定が困難なためにほとんど存在しない。 ただしニューメキシコ大学の運動生理学者の推計によると、筋肉は1日の総消費カロリーの20%を占めるが、脂肪はわずか5%にとどまっている。

  4. 4.活動量の維持や向上が期待できる

    さらには、体が強くなり健康になると、毎日の活動で自然に消費するカロリーが増える可能性がある。 これは、1日の運動以外のすべての活動に由来する、非運動性産生熱量(NEAT)の維持や増加によるものだ。

    場合によっては、運動プログラムを開始すると、NEATが減少することもある。 実際に、『Obesity Reviews』誌2012年10月号に掲載された研究では、定期的に運動しても体重が減少しない理由の1つは「非運動性活動が減少するため」であることが明らかになった。

    一方で、『Advances in Nutrition』誌2015年9月号に掲載された研究論文では、有酸素運動の後にウェイトトレーニングを行うと、NEATの減少が起こりにくいことが示唆されている。

    NEATは日々の消費カロリーに大きく影響するため、代謝において非常に重要な役割を果たしている。 NEATもまた、状況によって大きく変化する。座っていることが多い人の場合、NEATは1日の総消費カロリーの6%~10%を占め、活動的な人の場合は50%以上を占める。

代謝を改善するためのさまざまな筋力トレーニング

レジスタンストレーニングプログラムの主な目標は4つある。 どの目標を選んだとしても、反復回数を増やすか、最大挙上重量(1RM)中の負荷率を高めることになるだろう。 1RMとは1回の試行で持ち上げられる最大重量のことだ。

ACEは、トレーニングごとのガイドラインを次のように定めている。

  • 筋持久力トレーニングは、発揮した筋力を長く維持できるようにするためのもの。 この場合は、1RMの67%未満の重量で12回以上の反復を行うようにする。
  • ハイパートロフィートレーニングは、筋肥大に重点を置いている。 この場合は、1RMの67%~85%の重量で6回から12回の反復を行うようにする。
  • 最大筋力トレーニングは、セットごとに最大限の筋力を発揮できるようにするためのもの。 筋力の限界値を高めるために、1RMの85%以上の重量を用いて1セット6回未満の反復を行うようにする。
  • パワートレーニングは、一瞬で筋力を極限まで発揮したい場合に行うもの。 パワーリフティングでは通常、1RMの80%から90%で非常に少ない反復を行うようにする。

どのトレーニングを選ぶべきか? 全米スポーツ医学協会(National Academy of Sports Medicine)によると、ウェイトトレーニングで代謝を上げるために最適なトレーニングはハイパートロフィートレーニングだという。このトレーニングは筋肉量を増やすために開発されたものだ。

ただし、どのトレーニングにも筋肉を鍛えて筋力を向上させる効果はあるため、 自分が最も楽しめるウェイトトレーニングを選ぶとよい。頻繁にプログラムを行えば、成功する可能性は高まるだろう。

よくある質問

筋力トレーニングはどの程度の頻度で行うべきか?

Physical Activity Guidelines for Americans(アメリカ人のための運動ガイドライン)』は、成人の場合、全身を使った筋力トレーニングを週2回以上行うことを推奨している。

成人は中強度のトレーニングを週に150分~300分以上行うか、激しいカーディオトレーニング運動を週に75分~150分行うか、両者を組み合わせて同程度のトレーニングを行うとよいとされている。

しかし、必ずしもこれらの目安を上限にしなくてもよい。 筋力トレーニングは週2日以上行うこともできる。 ただし、アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine)は、同じ筋肉群のトレーニングを行う場合は、48時間以上間隔を空けることを推奨している。

筋力をつけるためにはウェイト機器が必要か

そうとは限らない。ダンベル、ケトルベル、バーベルを使わなくてもさまざまな方法で筋力をつけることができる。 たとえば、自重トレーニングを行えば手軽に、効果的に筋肉量を増やすことができる。 全身の筋肉を鍛えるために、プッシュアップ、スクワット、ランジ、ベアクロールを数セット行おう。

ヨガやピラティスも筋力を高められるので、検討してもよいだろう。 ダウンドッグ、木のポーズ、ウォリアー 2などのポーズは、筋力と安定性を高めることができる。

ウェイトトレーニングにより代謝が改善されたら、カーディオトレーニングを省略するべきか?

カーディオトレーニングでも消費カロリーは増加するため、代謝を増やし、体組成を変えることはできる。

たとえば体重約70kgの人が中強度のウェイトトレーニングを30分行うと、102kcalを消費する。 ところがACEによると、同じ人が1マイル10分のペースで30分間ランニングを行うと、340kcalを消費するという。

運動を習慣にしている人は、カーディオトレーニングとウェイトトレーニングを組み合わせながら、それぞれの長所を活かしていることが多い。 たとえば、1回50分の中強度のランニングを週3日行っている場合は、 カーディオトレーニングの休養日のうち週2~3日は、全身を鍛えるウェイトトレーニングのルーティンにあてればよい。 このようなスケジュールを組むと、運動量の目安を満たしながら、週に1~2日の休息日を設けることができる。

筋力トレーニングで代謝がアップする仕組み

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公開日:2022年1月4日

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