定期的な運動が心身にもたらす5つのメリット

健康とウェルネス

運動は心身の健康にさまざまなメリットをもたらし、健やかな状態で長生きするのにも役立つ。

最終更新日:2022年7月27日
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エクササイズが健康に与えるメリットとは?

運動は健康に大きな影響を与える。運動と同等のメリットをもたらせる要因は、他にほとんどない。

メアリー・フリー・ベッド・スポーツ・リハビリテーションのトッド・バッキンガム博士(主任運動生理学者)はこう語る。「運動の効能を錠剤にできたら、世界で最も広く処方される万能の薬になるでしょう」

定期的な運動は、健康上のメリットをもたらす。これには科学的な根拠がある。 普段の生活サイクルに運動を取り入れていない人は、早急に改善したほうがよいかも知れない。

  1. 1.心臓病のリスクを低下させる

    世界的な死因のトップは、男女を問わず心臓病だ。毎年、世界の死因の16%を占めている。 定期的な有酸素運動は、心臓の健康を維持し、慢性疾患のリスクを低減してくれる最善策の1つだ。

    2009年7月に学術誌『American Journal of Lifestyle Medicine(米国生活習慣医療ジャーナル)』で発表された研究によると、運動の習慣で心臓病のリスクが50%も低下する。

    「心臓の筋肉群も、他の筋肉と同じようにできています。 定期的に心臓を鍛える運動をすれば、強くなるのです」とバッキンガム博士は言う。強い心臓は、1回あたりの拍動で多くの血液を送り出せるため、それほど速く動く必要がない。

    その結果、動脈への負担が軽減され、血圧も下がるのだ。 血圧を健康的な範囲(120/80mm Hg以下)に保つことは、心臓病だけでなく関連する心臓発作や脳卒中などの危機を防止するのに不可欠だ。

  2. 2.健康を保ちながら年齢を重ねる

    健やかに年齢を重ねるためには、運動が欠かせない。 2010年1月に発表された『Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care(臨床栄養学および代謝ケアの最新見解)』によれば、運動を習慣にしていない人の筋肉量は、30歳から10年間ごとに3〜8%の減少が予想される。 さらにその割合は、60歳を超えると格段に大きくなるという。

    加齢による筋肉の自然な減少は、サルコペニアと呼ばれる。高齢者にとって深刻な問題だ。

    「年齢を重ねるごとに、筋力トレーニングの重要性が増します。筋肉を鍛えることで、転倒リスクを減らせるからです」とバッキンガム博士は語る。 CDCによれば、転倒は65歳以上の怪我や死亡の最も深刻な原因の1つである。

    強い筋肉の効能は、転倒を防ぐだけではない。階段の昇降、椅子からの立ち座り、食料品の運搬、ドアの開閉など、日常の活動にも役立つ。 高齢になっても自立した生活を送るには、基本的な家事を自分でできる必要がある。

    筋力トレーニングのように体重負荷をかける運動は、骨の強度を高め、骨粗しょう症のリスクを下げるためにも欠かせない。

    スポーツメッド・フィジカル・セラピーで理学療法士(DPT)、認定ストレングス&コンディショニング専門医(CSCS)、整形外科の認定専門医を務めるブレンダン・カーク氏は、次のように説明する。「体重負荷をかける運動は、背骨の垂直方向に力をかけることになるため、骨を作るプロセスの引き金になるのです」

    米国国立衛生研究所(NIH)によれば、レジスタンストレーニング以外の運動でも骨密度は高められる。ジョギング、ヨガ、階段の上り下り、テニスなどにもそれぞれ効果がある。
  3. 3.健康的な体重の達成や維持をサポートする

    体重を減らしたり、維持したりしようと思ったら、まず健康的な食事を心がける人は多いだろう。 だが定期的な運動も、1日あたりのカロリー消費量を増やすことで長期的な体重管理に寄与する。

    体重を減らすことは、血糖値の過度な上昇で発症する2型糖尿病の予防にもなる。 米国国立糖尿病・消化器・腎臓疾患研究所(NIDDK)によれば、体重過多や肥満の人は、現在の体重の5〜7%を減らすことで、糖尿病を予防したり発症を遅らせたりできる。
  4. 4.気分を高めて脳を健康に保つ

    「体を動かすことは、体の健康に役立つだけでなく、脳にも極めて大きな効果があります」とバッキンガム博士は言う。 博士によると、運動は学習と記憶の促進に役立ち、認知症などの脳疾患も予防してくれる。

    学術誌『Brain Plasticity(脳の可塑性)』2018年9月号のレビューによれば、運動を増やすほどアルツハイマー型と呼ばれる一般的な認知症の発症リスクが低くなる。

    また運動をすると、気分を高めるエンドルフィンという脳内物質が放出されるので、悩みから気を紛らわすのにも役立つ。 これは、うつ病や不安の緩和に役立つ可能性があるとメイヨー・クリニックも指摘している。
  5. 5.免疫系を増強する効果

    適度な運動は、感染症と戦う免疫系の強化にも役立つ可能性がある。 学術誌『British Journal of Sports Medicine(英国スポーツ医学ジャーナル)』2021年3月号に掲載された研究によると、定期的に運動している人は、運動をしていない人よりも新型コロナウイルスの合併症が少ない。

    また学術誌『Journal of Sport and Health Science(スポーツ健康科学ジャーナル)』2019年5月号のレビューによれば、運動は免疫細胞が体内を循環するのを助け、その監視機能も強化してくれる。 これにより、免疫系がより迅速に有害な病原体を特定し、体内から排除できる可能性もある。

    ただし、たいていの物事と同様に、運動もほどほどが肝心だ。 運動しすぎると、かえって免疫力を低下させ、インフルエンザなどの上気道感染症を発症するリスクが高める可能性もあるとバッキンガム博士は語っている。

よくある質問

定期的な運動が健康にもたらすメリットは?
定期的な運動は、2型糖尿病、心臓病、アルツハイマー病、骨粗しょう症といった慢性疾患のリスクを低減する。また免疫機能の強化、気分向上、転倒リスクの低減などの効果が証明されている。 定期的な運動を健康的な食事と組み合わせると、健康的な減量の達成や体重の維持にも役立つ。
運動の効果を実感するまでにかかる時間は?
何か運動プログラムを始めれば、すぐに精神面や感情面での効果を実感できる。 だが体力アップや筋力向上などの身体的な効果を実感するには、数週間程度の時間が必要だ。

たとえば、定期的な筋力トレーニングを続けて、筋肉の肥大が確認できるのは開始から8〜10週間後だ。 それでもわずか2〜3週間後から筋力アップは実感できるとバッキンガム博士は言う。 有酸素運動の効果は、たった1週間で現れる。
どれぐらいの運動量をこなせば、効果が実感できるのか?
運動量の程度に関わらず、何もしないよりはやるほうがずっとよい。 ご参考までに、米国保険社会福祉省が成人向けに推奨しているメニューは、少なくとも週に150分間の有酸素運動(中程度の負荷で約30分を週5日)と、週に2回の全身筋力トレーニングだ。
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公開日:2022年1月14日

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