寒い季節のランニング:ウェア選び、ウォームアップ、快適なランニングの方法

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冬場のトレーニングに役立つエキスパートからのヒントを参考に、寒い季節のランニングを最大限に活用する方法を学ぼう。

最終更新日:2026年1月27日
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寒い季節のランニングを効果的に:エキスパートお墨付きの4つのヒント

寒いからといって外出を控え、ランニングから遠ざかるのはもったいない。ただし、厳しい寒さに立ち向かうための準備は不可欠。

冬場のランニングが初めての人や、これまで冬のランニングを楽しめなかった人は、寒い気候でのランニングについての専門家からのアドバイスを参考にすれば、ワークアウトの効果を最大限に高められるはずだ。

寒い季節のランニングは安全?

寒い季節のランニングは、適切に行えば一般的に安全だ。寒さが体に与える影響を理解することが、安全で快適なランニングのための鍵となる。

「冷たい空気を吸い込むと気道抵抗が高まり、気道刺激を引き起こし、呼吸が困難になる可能性があります」と持久力強化トレーニングを行うランナーを治療する、理学療法士のデニス・コロン博士は言う。「ランナーによっては、気道刺激が軽度の気管支収縮を引き起こすこともあります」と博士は続ける。

寒さは筋肉の機能にも影響を与える。「寒い環境では筋肉が冷え、効率的な有酸素運動能力を発揮できるまでウォームアップに時間がかかることがあります」とコロンは説明する。「これにより、有酸素能力が一時的に低下し、無酸素代謝への依存度が高まり、特に風の強い日には、運動努力の体感的な増大が生じる可能性があります」

寒い時期にランニングをすることで生じるけがは特にない。むしろ、ほとんどの怪我は気温に関係なく、準備が不十分だったり、適切なウォーミングアップが行われないことが原因であると、理学療法博士で整形外科臨床専門医のジェシカ・チャンは語る。

けがのリスクが高まるわけではないが、天気予報で積雪や凍結などの状況をチェックすることは重要。これは滑って転倒するリスクが高まるからだとチャンは言う。

主なポイント

  • メンタルヘルスへの効果:ランニングはうつ病不安、ストレスを軽減する効果があり、季節性情動障害(SAD)に特に有効。
  • ランニングを中止すべきタイミング:10~15分走ってもまだ寒い場合や、雪や氷の上で足元が不安定な場合は、中止して屋内に戻ろう。
  • 屋外ランニングを控えるべき時:視界が悪い(大雪やみぞれ)時や、道路が深く雪に覆われている時、または凍結している時は、屋内に留まろう。

寒冷時のチェックリスト

  • 風冷指数と路面の凍結状況を確認:外へ出る前に必ず天気予報を確認する。特に風冷指数と路面状況に注意を払うこと。風冷指数が凍傷のリスクをもたらす(約-31℃以下)場合や道路が凍結している場合は、屋内でワークアウトする。
  • 適切な重ね着:速乾性のインナー、中綿入りのミッドレイヤー、防風性と耐水性を備えたアウターシェルの3層で対応する。
  • 手足の保護:手、耳、足は体温を失いやすく、特に凍傷になりやすい部位。これらの脆弱な部分を保護するために、防寒用の帽子やヘッドバンド、ランニンググローブやミトン冬用のソックスランニングシューズを着用しよう。
  • 視認性の確保:日照時間が短い冬に屋外で走る際は、視野を確保すること、また周囲からも見えやすいことが重要だと、ランニングコーチのニコール・ガイナコプロス(C.S.C.S.)は述べている。リフレクティブ(再帰反射)のランニングウェアを選び、ヘッドランプや懐中電灯を持参して視認性を高め、安全性を確保しよう。USATF認定ランニングコーチであるエイミー・ドウォレッキは、明るい色や鮮やかな色は、夜明けや夕暮れ時にも視認性を保つのに役立つと述べている。
  • 水分補給:ランナーは寒い時期に水分補給を忘れがちだが、冬でも汗をかくので、水分補給は不可欠。「10〜12分ごとに水を数口飲み、ランニングの前後にも水分補給を忘れないようにしてください」とガイナコプロスは言う。 ランニングウォーターボトルやハイドレーションベルトを携行しよう。

1. 適切な装備を整える

走り出す前に、防寒対策のランニングギアで装備を整えるようにしよう。ウェアはランニング中の体感温度に影響する。寒すぎず暑すぎないことが重要だ。重要なのは適切なバランスを見つけること。ガイナコプロスによれば、外に出た瞬間に「寒さを感じが不快なほどではない」状態が理想的。運動中に体が生みだす熱を考慮し、ランニング中の過熱を防ぐため、実際の外気温よりも約11度高いと想定してウェアを選ぶと良いと、認定トライアスロン&ランニングコーチのカサンドラ・パドゥラ・バーク(管理栄養士)は述べている。

重ね着の方法

寒い季節に安全かつ快適にランニングするには、重ね着が重要となる。「シンプルな3層システムが最適です」とコロンは述べている。次の3つの必須レイヤーを使ってシステムを構築しよう。

  1. 第1レイヤー:ポリエステルやポリプロピレンなどの速乾性に優れた素材で作られたトップスとレギンスまたはパンツ。「インナーは肌から水分を逃がすので不可欠です」とコロンは言う。
  2. 第2レイヤー:フリースやウールなどの素材で保温性の高いミッドレイヤーを追加して、体が生み出す暖かい空気を閉じ込める。「軽量の合成フリースは、かさばることなく保温性を発揮し、激しい運動中も通気性を維持し、汗が浸透してもすぐに乾くので、最も効果的です」とバークは述べている。
  3. 第3レイヤー:防風性と耐水性を備えたアウターレイヤーで全体を覆い、内側の層への風雨の侵入を防ぐ。

手と頭部の防寒対策

手、耳、頭をカバーすることは、手足の凍傷や感覚麻痺を防ぐために必須だ。頭と手は熱がすぐに逃げやすい部位であることを考慮し、グローブ、ネックカバー、帽子やヘッドバンドといった必須のアクセサリーを忘れないようにしよう。

ガイナコプロスは、薄手のグローブにミトンを重ねたコンバーチブルグローブを愛用している。「暖かくなってきたら、ミトンを外して、グローブだけを着けます」と彼女は言う。

速乾性が重要な理由

外は寒くても、重ね着したウェアの下では汗をかく。ポリエステルなどの速乾性素材は、この汗を肌から吸い取り、外側の層に逃がす。その後、汗は蒸発し、空気中に放出されるので、肌を乾いた状態に保つ。

コットン製の衣類は避けよう。この素材は繊維に水分を吸収するため、濡れて重くなる。「寒いときに体が濡れていると、体温が急速に失われ、冷えや軽度の低体温症のリスクが高まります」とコロンは言う。そのため、季節を関わらず、速乾性に優れたランニングウェアを選ぶようにしよう。このようなウェアは、次のような速乾性素材で作られている。

  • ポリエステル
  • ポリプロピレン
  • ナイロン
  • メリノウール

風冷えへの対策

寒い季節のランニングウェアは、気温だけで決めることはできない。風があると、体感温度は温度計の表示よりも冷たくなり、体温が奪われやすくなる。風冷指数は、気温と風速の両方を考慮したもので、屋外で実際にどれくらい寒く感じるかをより明確に示す。たとえば、温度計が約-20℃を示している場合でも、秒速約9メートルの風が吹いていると、風冷指数は-34℃前後にまで下がる。つまり、気温が-34℃の時と同じ速度で体が熱を失うことになる。

したがって、ウェアを選ぶ際には風冷えを考慮しよう。風冷指数が15分以内に凍傷を引き起こすほど高い場合(-32℃付近)は特に注意が必要だとコロンは述べている。指先、つま先、耳、顔を覆い、防風性のあるアウターを着用しよう。または、屋内でのワークアウトに切り換えるのも良いだろう。

冬用ランニングシューズの選び方

気温が下がり雪が降ると、暖かい季節用のランニングシューズでは不十分となる。足が湿って冷たくなり、凍結した路面で滑るリスクが大幅に高まる。

そこで冬仕様のシューズが必要になる。GORE-TEXを採用した防水ランニングシューズトレイルランニングシューズは、足をドライに保ちながら、十分なトラクションを発揮するので優れた選択肢になるとガイナコプロスは述べている。トレイルシューズの利点は、ロードランニングシューズの多くにトレイル仕様のモデルがあること。普段履き慣れたロードシューズがあるなら、トレイルモデルを選ぶことでフィット感や履き心地はそのままに、冬の路面で必要なトラクションを得られる。

もう1つの選択肢は、普段のランニングシューズに足首のゲイターとトラクションスパイクを追加すること。ゲイターは足首を暖かく保ち、保護してくれ、スパイクは滑り止めになる。

2. 必ずウォームアップをする

天候にかかわらず、ウォームアップは是が非でも行うべき。運動に備えるために、心拍数を上げ、筋肉の温度を高めて、可動域いっぱいに関節を動かせるようにする。

ダイナミックな動き

ウォームアップには、ハイニー、軽いジョグインプレース、ウォーキングランジといった動的な動きが適している。ドレッキによると、こうした動きは血流を促し、深部体温を高め、動作を伴いながら可動域を広げることで、ランニング特有の負荷に筋肉を準備させる役割を果たす。

スタティック ストレッチは避ける

一定時間ポーズを保つスタティック ストレッチは、柔軟性を高める方法としては有効だが、ウォームアップには向かない。ドレッキは、スタティック ストレッチは体力発揮を低下させる可能性があり、神経筋系を高強度の動きに適応させにくいと指摘している。

特に寒い時期のランニングでは、筋肉や関節が硬くなりやすいため、この準備不足が影響しやすい。スタティック ストレッチはクールダウン時に行うのが適切だ。

5分間の屋内ウォームアップ

外に出る前に、空調の整った室内で5分だけ体を動かしておくと、寒さや風にさらされる前に体をしっかり起こせる。

以下は、ドレッキがすすめる定番のウォームアップだ。

  • 1〜2分:足踏みから始め、徐々に軽いジョグインプレースへ。腕も大きく振る
  • 各30秒(左右):前後のレッグ スイング
  • 各30秒(左右):左右のレッグ スイング
  • 30秒〜1分:体をひねりながらのウォーキングランジ
  • 30秒:ハイニー
  • 30秒:バットキック
  • 各30秒(左右):立ったままヒップ サークル
  • 各30秒(左右):立ったままアンクル サークル

3. 体の声を聞く

天候に合わせて走る距離やワークアウトの内容を必ず調整する必要はない。代わりに、まず体の声を優先させるべきだと、チャンは言う。

「寒い中での最初の数回のランは、体が慣れるまで普段よりきつく感じることがある。だから、スピードを落とすべきだと感じたら落とす、早めに切り上げたくなったら止めるなど、体の声に従うことが大切だ」と彼女は言う。

フォームについて言えば、猫背になったり体がこわばったりしていることに気付くかもしれない。寒さの中で体が自然にそうなるため、フォームを意識し、正しいランニング動作を保ちつつリラックスするように心がけることが重要だ。

最初の数回のランニングがきつすぎると感じた場合にチャンが勧めるのは、長距離ランを複数回に分け、短めのランニングを行う方法。こうすれば、寒い空気にさらされる時間を減らしつつ、同じ走行距離を確保できる。

4. クールダウンを忘れずに

ランニングからそのまま休憩に移ると、心拍数や体温が急激に下がりすぎることがある。そうなると、気分が悪くなったり、失神することもある。

そこでクールダウンが重要だ。たった5〜10分でも、ワークアウト後に徐々に体温と心拍数を下げる時間を作るだけで違いが出る。

ランニングが終わったら、屋外では数分歩いて軽くクールダウンし、その後は屋内に移動してフォームローラーやスタティック ストレッチを行うのがよい。ガイナコプロスも「冬のランニング後は寒くなりすぎないように、数分ほど歩くだけにして、クールダウンはほとんど室内で行う」と説明している。

寒い季節にランニングを始めるには

寒い中で走るのが初めてなら、体が慣れるまで2〜3週間程度の継続した寒さの中での練習が必要だ、とコロンは言う。慣れてくると、外で走っても震えにくくなり、体が温まりやすくなる。

順応期間中は、距離を短くしたり、負荷を下げたりするのが効果的だ。そして、寒さに慣れてきたら距離と負荷を徐々に上げていくのが良いとコロンは提案している。

寒い天候に合うウェアの組み合わせを見つけるには、試行錯誤が必要だ。何を着て走ったか、気温はどれくらいだったか、どれくらい快適だったかを記録するのが役立つとガイナコプロスはすすめている。

ベースレイヤーが汗でびしょ濡れになるのは、着込みすぎのサインだとガイナコプロスは言う。逆に、走り始めて10〜15分経ってもまだ寒いなら、追加の1枚が必要な可能性が高い。途中で服装を調整しやすくするため、ガイナコプロスは冬は短いコースを走るようにしている。必要に応じて途中で服を脱いだり着たりしやすいからだ。

寒い日のランニング後のリカバリー必需品

寒い天候でのランニングは、家の前に着いたところで終わりではない。適切なリカバリーは、ランニング後の冷えを防ぎ、体が回復するのを助ける。

終わったらすぐに、清潔で乾いた服に着替えよう。汗で濡れたランニングウェアを長時間着たままだと、肌に湿気が残り、体温が急激に下がってしまうとバークは言う。乾いた服に着替えることで、体温を徐々に、コントロールしながら下げられる。

着替えたら、回復を促すために5〜10分のクールダウンを行う。ガイナコプロスは通常、ウォームアップで行った動きに似たフォームローリングとスタティック ストレッチを取り入れている。

クールダウン中と終了後は常温の水を少しずつ飲んで水分補給をする。その後、炭水化物とタンパク質の両方を含む食事や軽食で補給する。炭水化物はタンパク質1グラムあたり3〜4グラムを目安にしよう。この組み合わせは、グリコーゲンの補充と筋肉の再合成をサポートするとバークは言う。

さらに、スープやお茶、ホットココアなど温かい飲み物を回復食に加えると、体の内側から温まりながら水分補給できるとバークは述べている。

よくある質問

どの気温から走るのが危険?

技術的には、走るには「寒すぎる気温」というものはない。適切な服装があれば、ほぼどんな気温でも走れるとガイナコプロスは言う。ただし、風が強い日の体感温度が、15分以内に凍傷が起こるレベル(華氏約−25度前後)になる場合は危険だ。この場合は、室内で運動するのが安全だろう。

冬はペースをどう調整すべき?

暖かい季節のペースは、寒い季節になるとよりきつく感じることがある。特に雪が積もっているとそうだ。いつものペースに合わせようとするのではなく、心拍数や主観的運動強度(RPE)を目安に、適切なペースを見つけるとよい、とガイナコプロスは言う。

雪の中で走るのは安全?

雪の上を走るのは、部分的に凍っていたり、下に氷が隠れていると危険になり得る。トラクションのあるランニングシューズを履けば、足元を安定させやすくなる。道路が凍っていたり、足元が不安定に感じるなら、トレッドミルに切り替えるのが賢明だ。

つま先や指のしびれを防ぐには?

指を守るにはコンバーチブルグローブが便利だ。指を覆うベースレイヤーと、風や湿気を防ぐミトン部分が一体になった2in1のアイテムだ。足の指のしびれを防ぐには、厚手で吸湿速乾性のあるソックスを履こう。シューズは、GORE-TEXなどの防水仕様のものや、トレイルランニングシューズを選ぶのがおすすめ。足首用のゲイターを付ければ、雪や風からさらに守れる。

路面が凍っているときは、屋内で走るべき?

凍った道路を走るのは常に危険が伴う。路面が凍っているならトレッドミルを選ぶのは恥ずかしいことではない。ケガを防ぐための賢い選択だ。

文:ローレン・ベドスキー

公開日:2026年1月27日

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