ラッキングについて知っておくべきこと:ラッキングとは何か、そのリスクとメリット、やり方について

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軍隊式トレーニングのテクニックをフィットネスルーチンに取り入れる方法を紹介。

最終更新日:2022年9月28日
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ラッキング:リスク、メリット、やり方を解説

もしあなたがウォーキングとランニングの間くらいの強度の運動を探しているのなら、ラッキングがその答えかもしれない。 ラッキングとは何か、そのメリットとリスク、そして始める際のヒントについて、専門家の解説を交えながら見ていこう。

ラッキングとは

ラッキングとは、重りの入ったリュックサックやバックパックを背負った状態で、ウォーキングやハイキングを行うエクササイズのこと。 『Australian Army Journal』に掲載された2010年の論文によると、ラッキングは国際的な軍事訓練の定番となっている。兵士には武器や食料、その他の物資を長距離に渡って運ぶ能力が必要とされるからだ。

重りの入ったリュックを背負ってウォーキングをすることは、アクティブな一般市民にとっても有益である。 ラッキングが筋肉の強化と体力の向上につながることは、言うまでもない。

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ラッキングのメリット

ラッキングにはウォーキングが含まれるため、有酸素運動に分類される。 だが重りの入ったリュックを加えることで、ウォーキングの強度を新たなレベルに引き上げることができる。

「重りが加わることで、同じペースでもより大きな負荷が筋肉にかかり、強度が大幅に上がります。ウォーキングやランニングを平地で行う場合と上り坂で行う場合と同じくらい、その効果には差があります」と、認定ストレングスコンディショニングスペシャリスト(C.S.C.S.)のロブ・ショールは語る。

負荷を増やすことでより心肺機能に働きかけるラッキングは、有酸素運動能力を効果的に高められるエクササイズなのだ。 事実、『Journal of Strength and Conditioning Research』に掲載された2019年の研究論文によると、健康な男性(慢性疾患がないと診断された男性)が10週間のラッキングプログラムを実施した結果、最大酸素摂取量(V02 max/有酸素運動能力における一般的な基準)に大幅な改善が見られた。

重りの入ったリュックを背負うことで、いつものウォーキングを筋力トレーニングに変えることもできる。 ラッキングでは実質的に肩から足まで、すべての筋肉を使うことになる。そう語るのは、C.S.C.S.兼ミリタリーフィットネストレーニングコーチであり、海軍特殊部隊に所属していた経歴を持つスチュー・スミスだ。

歩行運動には、臀筋、腰、大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎ、すね、足の筋肉が使われる。 さらに重りに耐えるため、背中の下部や首、肩の筋肉も必要になるとスミスは言う。 つまり、ラッキングはれっきとした全身運動と言えるのだ。

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ラッキングのリスク

ラッキングはランニングなどの高負荷なアクティビティと比較すると、関節にかかる負担が軽い運動だが、リスクがまったくないわけではないとスミスは言う。 特に、現在の身体能力を上回る距離や頻度、重量を選択してしまうと、下半身や腰、肩、首に痛みが生じる恐れがある。

足首のサポートがしっかりしたシューズを選ぶことも重要になる。 道が平らでない場合は、特に注意が必要だとスミスは話している。 不適切なシューズでラッキングを行えば、水ぶくれや足の痛みが生じたり、捻挫したりする危険性が高まる。 ラッキングに使う筋肉を狙った筋力トレーニングを行えば、怪我を防ぐのに役立つだろう。

  1. 1.基礎を構築する

    既に決まった筋力トレーニングを行っている人であっても、ラッキングで使う筋肉を鍛えるトレーニングに数週間を割くことは有益となるだろう。

    「ランジ、ゴブレットスクワット、ケトルベルを使ったルーマニアンデッドリフトの組み合わせは、ラッキングに必要な筋力と持久力を鍛えるのに役立つ最高のリフティングです」とスミスは言う。

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    1週間のうち2、3日を目標に、各種10回 × 2~3セットからリフティングを始めてみよう。 スミスによれば、回数を重ねるにつれて重量を増やし、5回 × 5セットに切り替えていくといいそうだ。 適切なトレーニング計画を立てるために、パーソナルトレーナーやストレングス・コンディショニングスペシャリストに相談することも検討しよう。

  2. 2.道具を揃える

    ラッキング専用のリュックが一般向けに販売されている。 スミスのお気に入りは、ミリタリーグレードのALICEパックだ。 形もサイズも多様な商品が販売されているため、必要に応じて適切なものを選ぶと良いだろう。

    既にバックパックが手元にあるのなら、それを使ってもいい。 「丈夫なバックパックであれば、ほとんどがラッキングに使えるでしょう」とショールは話している。

    ラッキング専用のウェイトもあるが、砂や小石をビニール袋に入れたり、ウェイトプレートやダンベルを活用したりしている人がほとんどだ。 ただしこの場合は、重りが当たって背中を痛めることのないよう、重りをタオルでくるんでおく必要があるとショールは言う。

  3. 3.軽い重量から始める

    ラッキングを始めたばかりの頃は、リュックに入れる重りが自分の体重の10%を超えないようにすること。 10%で問題なければ、1~2週間毎に重りを10~15%増やしていくと良いとスミスは説明する。 更にトレーニングを続けてみて問題がなければ、最大で体重の25%まで重量を増やしていってみよう。

  4. 4.重りを適切な位置に配置する

    重りを適切な位置に配置することも重要だ。

    「意外に思われるかもしれませんが、重りは背中の上部、肩甲骨の間に配置することが理想的です」とショールは述べている。 ここに配置することで、腰と背中の下部への負担を減らすことができる。

    リュックの底にバレーボールやたたんだタオルなどを入れ、その上に重りを載せることで、肩甲骨の間に重りがくるよう調節すると良い、とショールは提案している。 重りが高い位置にくるように、リュックのストラップの長さを調節してもいい。

  5. 5.自分に合った距離と頻度を見つける

    最初は楽に感じられる距離から始めること。 有酸素運動にウォーキングを取り入れているのなら、まずは重りを背負った状態で1日に少なくとも約1.6km歩き、痛みなどの問題がないか試してみよう。 そこから約1.6kmのラッキングと通常のウォーキングを1日おきに行うことをスミスは推奨している。 体が慣れてきて問題がなさそうであれば、1週間毎に10~15%ずつ距離を伸ばしていくといいだろう。

    文:ローレン・ベドスキー

ラッキング:リスク、メリット、やり方を解説

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公開日:2022年9月28日

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